時計のオーバーホールはなぜ行う?
公開日:
:
最終更新日:2014/02/25
機械式時計の基礎知識
オーバーホールとは
日々のメンテナンスを怠らず、丁寧に扱っていても、機械式時計の制度は時とともに落ちてしまうもの。
そこで必要なのが、オーバーホールです。
壊れる・止まる、遅れがちになるといった不調を感じなくても、
永く時計を愛用するなら、定期的にオーバーホールを行うことは必須ですが
実際には「止まってしまってから」という段階で修理工房などにもちこまれるケースがほとんどなのだとか。
仮に止まった原因がぜんまい切れだった場合、ぜんまいが切れた衝撃で周辺のパーツにも傷がついたり、破損してしまうことも…
そうなると、壊れたぜんまいだけではなく、周辺の部品の交換も必要になり、その分時間もコストもかかることになりかねないのです。
3~4年に一度の定期的なオーバーホールを行えば、時計が止まってしまうことはよほどのことがない限り起らない上、
結果的に修理にかかる時間やコストもかからないことになります。
不調の早期発見と、早期回復のためにも、定期的なオーバーホールは必須なのです。
プロに任せるメンテナンス
「オーバーホール」
愛情をかけて、時計の外側の汚れを取り、丁寧に扱っても、時計ケース内の汚れを自分で撮ることは不可能です。
また、ムーブメント歯車などが時間とともに徐々に摩耗し、正確性を確保できなくなることがあります。
また、摩耗で削り出された微細な金属片によってケース内に「ゴミ」がたまっていくことや、ムーブメントの円滑油が乾いて動きが悪く事もあります。
結果、時計の精度が落ちてしまうほか、最悪の場合は部品をフルで交換しないといけないということにもなりかねません。
そこで必要なのが、プロの手によるお任せのメンテナンス「オーバーホール」です。
実際にオーバーホールがどのような手順で行われるか見ていきましょう。
オーバーホールの流れ
①見積もり
修理開始前に、時計の状態を確認
まずは見積もり部門の技術者が時計の状態を徹底的に確認。
不具合の状態、外観の汚れ、傷などもこの段階でリストアップし、調整だけ行うのか、修理が必要かなど確認されます。
この段階で、気になる事、直してほしい点などリクエストを伝えておくといいでしょう。
※ブランド直営の正規のオーバーホールでは、この段階で料金が発生します。
価格を聴いて、今回はオーバーホールを見送りにしたい、と思っても見積もり代金として1~2万円を取られることがほとんどです。
病院でいうところの、「初診料」にあたる料金はどうしても必要ということです。
②分解・洗浄
時計のパーツを最小単位まで分解し、洗浄・
ムーブメントの中の何千ものパーツ一つ一つを全て分解し、数種類の洗浄液でパーツの汚れを取り除きます
③研磨・ケーシング
時計のケースは、「そのままにしておいて」と見積もりの段階で希望を伝えない限りは、
職人の手によって購入当時の同じ状態にピカピカに磨き上げられます。
④組立・注油
ムーブメントを再び組み立てる工程。さらには、歯車の軸受けに新しいオイルを注油していき、
元通りに組み立てていきます。
⑤精度テスト
組みあがったムーブメントは元のケースに収め、精度テストを受けます。
出荷の許容範囲になるまで、何度も調整を繰り返し、手元に戻ってくるころには、新品同様完璧な調整が施された状態となっている。
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